神の契約におけるユダヤ人と非ユダヤ人の関係
UMJCの「メシアニック・ジュダイズムの定義」への応答
(67ページに及ぶ膨大な論文です)
ティム・ヒッグ師の論旨
1:導入
Section 1 Introduction .4
もともと、トーラーは全人類に与えられたが、ユダヤ人だけがそれを受け取ったという思想が、ユダヤ教の中にある。これは正しいと思われる。しかし、ラビユダヤ教も、メシアニック・ジュダイズムも共にトーラーがユダヤ人だけに適用されると教えている。これには歴史的な常識だった。しかし、これは正しいのだろうか?
2:聖書と歴史の検証
Section 2 A Scriptural & Historical Inquiry 9
トーラーの中で異国人の寄留者を示す言葉がいくつかあるが、その中で「ゲル」は重要である。ゲルは改宗者を示す言葉としても使われている。その反対はエズラハで、生まれながらのユダヤ人を指す。基本的には、ゲルはユダヤ人の中に寄留する異邦人を指すが、それと同時に改宗者をも指す。ユダヤ人と非ユダヤ人の区別はもともと厳重なものではなかった。
3:ラビ文献における改宗手続き
Section 3 Proselytism in the Rabbinic Literature 19
ラビ文献においては、厳密な改宗手続きが定められており、それを経ないでシナゴグに出入りする「神を恐れる人々」は二級市民だった。これは、あくまでラビの考えた理屈であり、御心に反する。
4:契約の民とは
Section 4 The Covenant People 33
出エジプトの時には、多くの異邦人も一緒に出て来たのであり、彼らもシナイ契約の対象であった。UMJCでさえも、異邦人からユダヤ人への「改宗」を認めているではないか。契約の民であるイスラエルは、固定したものではなく、たえず異邦人を呼び込んで行くものなのである。
5:寄留異国人(ゲル)に関するトーラーの規定
Section 5 Specific Torah Instruction Regarding the Foreigner (ger) 46
寄留の異国人にも「同一のトーラー」が適用され、異国人も割礼を受けることを条件に、ほとんど全てのユダヤ人の特権にあずかることができた。
6:ユダヤ人と異邦人に関する使徒たちの行動例と命令
Section 6 Apostolic Examples & Instructions: Jews & Gentiles 51
新約聖書の各書簡を詳しく検討すると、異邦人がユダヤ人に「ラビ的」に改宗することに反対しているだけであり、割礼や律法遵守に反対しているわけではない。むしろ、ユダヤ人も異邦人も等しく律法を守るべきであり、同じ特権にあずかると考えるのが自然な解釈である。
7:結論 トーラーは全ての民族の持ち物である
Section 7 Conclusion: The Torah is Equally the Possession of All peoples
UMJCは、聖書の教えに反して、民族的な線引きでコングリゲーションを分けて、異邦人をユダヤ人コングリゲーションから追い出そうとしている。これは間違いだ。異邦人もユダヤ人も一つになって、民族の壁を破り、トーラーの教えを守るのが神の御心である。
英語の原文はこちらからダウンロード可能です。
ティム・ヒッグ師のサイトには、さらに詳しい情報があります。
http://www.torahresource.com/
ヒッグ師のこの論文に対して、UMJCのラス・レズニック師や、ダン・ジャスター師が反論を発表しました。それに対しても、ヒッグ師は長い再反論を発表しています。煩瑣になるためここで論旨は紹介できませんが、ヒッグ師のサイトに全文が英文で公開されています。
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